なぜ“フランス国民の敵”マリー・アントワネットは、死後崇拝の対象となったのか?
肖像画で読み解くマリー・アントワネットの数奇な人生
◆処刑から数十年後、復古王政で崇拝の対象に
その後、裁判にかけられたルイ16世は、1793年に処刑されます。アントワネットも同様に裁判にかけられ、誹謗と中傷に満ちた法廷に毅然とした態度で臨むも、国家反逆罪で死刑が確定してしまいます。そして同年10月、断頭台の露と消えたのです。
最晩年に描かれたアントワネットの肖像画は、ヴェルサイユで華やかな暮らしをしていた頃からは想像できないほど厳かな雰囲気に満ちています。これは、ルイ16世の死を悼む喪服姿を表現しています。
さて、実はこの絵、のちに王党派のいわば「聖母画」として、王政復古期の1814年からブルボン家が断絶する1830年の間、非常に広い範囲で大規模に流布しました。アントワネットのイメージは、その後、ロマン主義的な崇拝の対象となります。そして19世紀後半には、君主制に殉じた王妃ということで、一種のイコンのような存在になったのです。
単なる悲劇の王妃というだけでなく、こうした様々な側面を持ち合わせているところも、マリー・アントワネットという人物の魅力なのではないでしょうか。
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波乱の一生。その、すべて。
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【会期】開催中~2017年2月26日(日)
【休館日】会期中無休
【開館時間】午前 10時~午後8時 ※入館は閉館の30分前まで
【会場】森アーツセンターギャラリー (東京・六本木ヒルズ 森タワー52階)
【公式サイト】http://www.ntv.co.jp/marie/